彼はマスターに言った。「なぜ私は劣等感を感じるのでしょう? ちょっと前までは、すべてがうまくいっていたのです。これまで、このように感じたことは一度もありません。私は何度も死に直面しましたが、一度として、どのような恐怖も感じたことはありません――なぜ私は今おびえているのでしょう?」
マスターは言った。「待ちなさい。誰もいなくなったら答えよう」
人びとは一日中マスターに会いに来て、絶えることがなかった。サムライはますます待つのに疲れてきた。夕方になって、部屋が空になると、サムライは言った。「さあ、答えていただけますか」
マスターは言った。「外に出よう」
満月の夜だった。月が地平線から昇ろうとしていた。そこでマスターは言った。「これらの樹を見てごらん――この樹は空高く伸びて、その傍らにはこの小さな樹がある。二本とも何年ものあいだこうやって私の窓のそばにある。そして、これまでなんの問題もなかった。小さい樹が大きい樹に向かって、『なぜ私はあなたの前で劣等感を感じるのでしょう?』と言ったことはない。この樹は小さく、あの樹は大きい――。そのようなつぶやきを、なぜ私は一度も聞いたことがないのだろう?」
サムライは言った。「彼らは比べることができないからです」
マスターは答えた。「それならば、私にたずねる必要はない。あなたは答えを知っている」 あなたが比較しないとき、あらゆる劣等感、あらゆる優越感は消える。そのときあなたは在る――あなたはただそこに在る。小さな灌木、あるいは高くて大きな樹――それは問題ではない。あなたは自分自身だ。一枚の草の葉は、最も大きな星と同じだけ必要とされている。このかっこうのさえずりは、いかなるブッダとも同じだけ必要とされている――このかっこうがいなくなったら、世界はそれだけ豊かさを失うことになる。
ちょっとまわりを見てごらん。すべてが必要とされている。そして、あらゆるものが互いに調和している。それは有機的合一だ。だれひとり高くはなく、だれひとり低くもない。だれひとり優れている者はなく、だれひとり劣っている者もいない。あらゆるものが比較できないほどユニークだ。あなたは必要とされている。私の臨在のもとでこれを感じることができないなら、どこで感じようというのかね?
私が毎日あなたに礼をするのは、あなたは完全だということを、なにひとつ欠けてはいないということを、あなたはすでにそこに在るということを、ただあなたに想起させるためだ――。一歩も進む必要はない。すべては在るべきように在る。これが宗教的意識だ。

